世界経済論を学ぶと第二次世界大戦後にアメリカ中心の経済体制ができたことが重要な意味を持つ「起点」であった
第二次世界大戦は1945年に終結したが、その後は大恐慌が予測されていた。戦争により各国の産業は疲弊しており、外貨不足から必要な物資の輸入も困難だった。唯一、戦前戦中に冨を蓄積した国があった。アメリカである。このころ、世界の金の7割がアメリカに集中しており、世界の鉱工業生産の6割以上、原子力や電子産業や石油化学工業などの質的側面でも世界を圧倒していた。かつての世界のリーダー英国も、これまでの植民地政策の疲弊や国内産業の不振などでその国力は大きく落ち込んでいた。
戦後の世界秩序の安定のためにできたブレトンウッズ体制は、アメリカの影響が色濃くでる構造になった。制度的な枠組みは、国際貿易:GATT+国際通貨基金:IMF+国際復興開発銀行:IBRDである。
IMFは基軸通貨をドルとした。世界の金の7割を保有していることから、ドルを使わざるを得ない状況であった。そこで、ドルと他国通貨の交換比率を一定にする「固定相場制」を導入した。あたかも金本位制のように金の価値の裏づけを持つドルを固定相場で使うことにより、各国との貿易がスムーズになった。
GATTとは、関税および貿易に関する一般協定(General Agreement on Tariffs and Trade)の略で通常「ガット」と読む。第二次世界大戦の大きな原因のひとつは「貿易戦争」だった。関税による経済ブロックで国際緊張がピークとなり、紛争へと発展していった。その反省から、世界は「自由貿易」を目指すことが大義になった。GATTは自由貿易を推進するための国際的なよりどころとなり、1948年に発足する。
アメリカは第二次世界大戦後に政策を大きく転換する。1823年のモンロー主義(アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱)と決別。1947年、トルーマン・ドクトリンにより世界中に関与していくことを宣言した。目的は共産主義の封じ込めであり、このときから地球を二分する「冷戦」が始まった。
そして、アメリカは強いドルを世界中にばらまく戦略をとる。マーシャル・プランによる西ヨーロッパ諸国への復興援助、ガリオア・エロア支援による日本やドイツへの援助などだ。外貨を使い果たしていたこれらの国々はドル支援を歓迎した。このドルはほとんどがアメリカからの物資輸入として使われた。
こうして数年の間、アメリカは世界に対する輸出を推し進める。実は、この背景にはアメリカ国内産業の過剰なまでの生産力があった。国内需要だけではありあまる生産力のため、海外に輸出しなければ国内経済が縮小し不況となり、さらには世界恐慌になる恐れがあった。
世界恐慌を回避するためどうするか?
アメリカ国内の生産活動を維持発展させるために、外貨を持たない西欧などの国々に輸入させるしくみを作る必要があった。そのために外国に援助するという予算を国内の議会に通したのだ。国内の補助金を使い、海外に輸出するというしくみである。こうしたアメリカの取り組みにより、当初懸念されていた世界恐慌も起きずに戦後の経済は復興した。
こうして戦後数年間のまたたく間に、ドルは名実ともに世界の基軸通貨となった。そして2009年の現在に至るまで、ドルは世界の基軸通貨であることは間違いない。
しかし、この一時しのぎ的ともいえるドル基軸通貨の体制が、以後60年以上続き、現在に至っている。
これからも未来永劫にドルは基軸通貨であり続けるべきなのだろうか?
ノーベル賞経済学者スティグリッツ氏率いる国連専門家委員会が、米ドル依存体制からの脱却を勧告している。
以下、日経ビジネス オンラインより引用
世界的な金融危機への対策を勧告するため昨年10月に発足した、ノーベル賞経済学者のジョセフ・スティグリッツ氏率いる国連の国際通貨・金融システム改革専門家委員会。同委員会は、米ドルに代わる基軸通貨の創設、主要20カ国・地域(G20)による協議体制の廃止、金融機関の規模の世界的な規制、金融機関のタックスヘイブン(租税回避地)との取引制限を呼びかけている。
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